1970年代の港町を舞台に、海女たちの友情と裏社会の駆け引きが火花を散らすクライムドラマ。
🛸 スカッとレベル ★★★☆☆
💬 悪党に一矢報いる瞬間はあるが、全体は緊張感重視の渋いカタルシス。
海の底で交わされる危険な取引――。
韓国映画『密輸 1970』は、1970年代の港町を舞台に、生活のために潜り続ける海女たちが「密輸」という裏の世界に巻き込まれていく社会派ドラマです。
主演キャストの迫真の演技、緊張感あふれる水中シーン、そして仲間との絆を描く人間ドラマは、観る者の心を揺さぶります。特に、海女たちが潜水から浮上する際に口笛のような音を響かせる「磯笛」の場面は、印象的で映画の象徴的な瞬間ともいえるでしょう。
これから観る人も、観終わった後に余韻を味わいたい人も楽しめるように、『密輸 1970』の作品情報やキャスト、あらすじ、配信情報などを分かりやすくまとめました。

海の底に隠された“真実”をどう描くのか…韓国映画らしい緊張感がたまらない作品です。
映画『密輸 1970』作品情報
基本データ
- 原題:밀수(Smugglers)
- 公開年:2023年(韓国)
- 監督:リュ・スンワン
- 主演:キム・ヘス、ヨム・ジョンア
- 上映時間:129分
- 制作国:韓国
作品の背景
映画『密輸 1970』は、1970年代の韓国を舞台にした犯罪アクション・ヒューマンドラマです。
当時の韓国は、急速な経済成長と社会的な不安定さが同居する時代。港町の女性たち――特に海女(アマ)たちは、漁業や密輸といった危うい境界線の中で生き抜いていました。
監督を務めたリュ・スンワンは、社会性のある題材をエンターテインメントに昇華させることで知られ、今回も緊張感あふれる水中アクションと人間ドラマを両立させています。

1970年代の韓国って、軍事政権や経済格差が大きくて、普通の人々が生き延びるだけでも大変だったのよね。映画の緊張感にも直結してるの。
あらすじ(ネタバレなし)
物語の舞台設定
物語の舞台は、1970年代半ばの韓国・西海岸にある漁村 クンチョン(群川)。
海に潜ってアワビや貝を採る海女たちは、代々受け継がれた技を頼りに生活を成り立たせてきました。ところが、近くに建設された化学工場からの廃棄物によって海は汚れ、アワビは大量死。伝統的な漁ではもう生計を立てられない状況に追い込まれていきます。
「どうやって明日を生きていくか」――そんな切実な問いが、村の人々、とりわけ海に潜ることで生きてきた女性たちに突きつけられていました。
主人公とストーリーの導入部分
その中で物語の中心となるのが、仲間の面倒をよく見る海女チームのリーダー ジンスク(ヨム・ジョンア)と、機転が利き、奔放な性格の チュンジャ(キム・ヘス)。
どちらもたくましく海で生き抜いてきた女性ですが、状況は厳しくなる一方。貧しさから抜け出す道を必死に模索する中で、彼女たちはある「儲け話」に出会います。
それは“海底から品を引き上げる”という密輸の仕事。潜水技術に長けた海女たちにしかできない危険な稼業でした。生活を守るためとはいえ、法の目をかいくぐる危険な世界に足を踏み入れることになります。
やがて摘発や裏切りも経験し、ふたりは大きな代償を払うことに……。
時が経ち、ソウルから戻ったチュンジャは、出所したジンスクに再び密輸の話を持ちかけます。
それは「再起のチャンス」か、それとも「さらなる破滅」か。ふたりの再会が、物語を大きく揺さぶるきっかけとなっていきます。
ネタバレなしで分かる見どころ
『密輸 1970』は、単なる犯罪映画ではありません。
漁村の厳しい現実に立ち向かいながらも、友情・信頼・裏切りといった人間関係の揺らぎを描くことで、観客に強い共感を与えます。
水中で繰り広げられる密輸シーンは圧倒的な緊張感があり、観ている側も息が詰まりそうになるほど。
陸では取引や駆け引きの場面が続き、誰が敵で誰が味方なのか分からなくなるスリルが観客を翻弄します。
そして、何より見どころなのは、女性たちが「生き抜くために」どこまで踏み込めるのか、という切実なドラマ。
自分や家族を守るために、正義と悪の境界線を越えるしかなかった人々の姿が、観る者に重い問いを投げかけます。

水中の密輸シーン、見てるだけで肺が苦しくなるよ!😳
感情スコア(観るとどう感じる?)
★=弱め / ★★★=ちょうど良い / ★★★★★=強め(当サイト基準)
感情 | スコア |
---|---|
⚡️ スカッとレベル | ★★★☆☆(3/5) 一矢報いる場面はあるが、爽快感よりも緊張感が主軸。 |
🌊 緊張感レベル | ★★★☆☆(3/5) 水中での潜水シーンや裏切りの駆け引きに息を呑む。 |
💖 感動レベル | ★★★☆☆(3/5) 友情や仲間意識が光るが、同時に切なさも伴う。 |
🌏 スケール感 | ★★★☆☆(3/5) 1970年代の時代背景と港町の雰囲気が丁寧に再現。 |
⚖️ 社会派レベル | ★★★★☆(4/5) 貧困や格差、女性の生き様を描き社会派ドラマとしても深みあり。 |
緊張感と社会性が織り交ざる、大人向けの渋い韓国ノワール体験。
キャスト紹介&役どころ
『密輸 1970』は、キム・ヘスとヨム・ジョンアという韓国映画界を代表する実力派女優の共演が大きな魅力。さらにチョ・インソン、パク・ジョンミンなど豪華キャストが集結し、緊張感あふれる群像劇を形づくっています。
チュンジャ(キム・ヘス)
14歳で家政婦から働き始め、“何でもやって生き延びる”強さを身につけた女性。数年ぶりに故郷クンチョンに戻り、密輸という危険な提案で物語を動かします。
キム・ヘスは『タチャ』『国家が破産する日』、ドラマ「シグナル」「ハイエナ」など多ジャンルで活躍し、韓国映画界を代表する存在です。

チュンジャの猛者っぷり、息を飲むほどだった…。本当に“強さと色気”を同時に感じる女優よね。
ジンスク(ヨム・ジョンア)
海女チームのリーダーとして仲間を守る強さを持つ。生活の苦境から密輸に関わり、親友チュンジャとの友情とは裏腹に対立も生まれる複雑な心情を抱えています。
ヨム・ジョンアは『なつかしの庭』『人生は、美しい』、ドラマ「SKYキャッスル」などで高く評価され、韓国演技界に確固たる地位を築く演技派です。

友情と疑いがせめぎ合う、ジンスクとチュンジャの関係…その緊張感が胸に刺さったよ。
オップン(コ・ミンシ)
港町の喫茶店で働く小悪魔的な情報通。卓越したコミュ力で密輸チームの要となる女性です。
コ・ミンシは『The Witch 魔女』『別れる決心』『スイートホーム』などで注目を集め、本作で青龍映画賞新人女優賞を受賞するなど飛躍を果たしました。

オップンが場にいると、もう空気が柔らかくなる。飄々とした雰囲気が最高にハマってた!
ドリ(パク・ジョンミン)
チュンジャとジンスクを補佐する若者で、末っ子気質ながら大きな夢を持つ野心家。
パク・ジョンミンは『空と風と星の詩人』『ただ悪より救いたまえ』『地獄が呼んでいる』など、多彩な演技で観客を引きつける存在です。

パク・ジョンミンは作品ごとに表情が変わる“変幻自在”な役者さんだよ。
クォン軍曹(チョ・インソン)
表は事業家、裏では密輸王として君臨するカリスマ。釜山を支配していたが、港の取り締まりが厳しくなり新たなルートを模索する中でチュンジャと出会います。
チョ・インソンは『安市城』『モガディシュ 脱出までの14日間』などで存在感を放ち、本作では青龍映画賞助演男優賞を受賞しました。

笑顔の裏に何を考えているか分からない…あのミステリアスな怖い魅力がクセになる。
ジャンチュン(キム・ジョンス)
検挙率100%を掲げる税関の責任者として、密輸の取り締まりを強化しチュンジャたちにとって最強の障壁となります。
キム・ジョンスは『1987』『キングメーカー』『ハント』などに出演。百想芸術大賞・大鐘賞など数々の映画賞に輝く実力派ベテランです。

ジャンチュンを見ると“絶対に諦めない壁”って感じが伝わってくる…扉の奥から見張られてるような緊張感だよ。
映画『密輸 1970』は実話なのか?
『密輸 1970』は、1970年代の韓国で実際にあった「海を舞台にした密輸事件」や、海女たちの生活をモチーフにしています。ただし、ドキュメンタリーではなく、史実を土台に脚色されたフィクション作品です。
当時の韓国では、輸入規制や経済格差の影響もあり、港町では密輸が頻発していました。潜水技術に長けた海女がその現場に関わっていたという記録も残っており、映画はそうした社会背景をベースにしています。
一方で、劇中に登場するクンチョン(群川)という町や、ジンスク・チュンジャといったキャラクターは創作です。監督リュ・スンワンは「実在の事件からインスピレーションを受けたが、物語はフィクションとして描いた」と語っており、史実とドラマの融合によってエンターテインメント性を高めています。

“実話ベース”って言葉を使いたくなるけど、あくまで当時の空気感を反映したフィクション。そこが観やすさのポイントなのよね。
見どころレビュー
映像美・演出
海を舞台にした映像表現は本作の大きな魅力です。
1970年代の港町や漁村の風景が丁寧に描かれ、当時の空気感がそのままスクリーンに息づいています。特に水中シーンは圧巻で、海底での作業や密輸の様子が手に汗握るリアリティで表現されています。
さらに、海の中で突如サメが姿を現す場面もあり、観客の緊張感を一気に引き上げます。人間同士の駆け引きだけでなく、自然の脅威までもが彼女たちを追い詰める要素として描かれており、映像に厚みを与えています。

サメが出てきた時は、つい『ジョーズ』を思い出しちゃったね。🦈
人間ドラマと社会性
『密輸 1970』はアクションに加え、人間ドラマの厚みも見逃せません。
ジンスクとチュンジャ、ふたりの友情と対立を中心に、女性たちが過酷な時代を生き抜こうとする姿が描かれます。そこには貧困や格差、女性の立場といった社会的テーマが重なり、観客に普遍的な問いを投げかけます。
単なる犯罪映画にとどまらず、社会派ドラマとしての深みを備えている点が本作の大きな特色です。
韓国映画らしい緊張感
物語全体を包むのは、韓国映画ならではの張り詰めた緊張感です。
誰が味方で誰が敵なのか分からない不安、裏切りの影が常につきまとい、登場人物たちの会話ひとつにもスリルが漂います。派手な爆破や大規模な銃撃戦がなくとも、生々しい暴力や人間同士の衝突を通じて強烈なスリルが生み出されており、最後まで観客を飽きさせません。

海女さんが水面に浮上したときに“ヒューッ”と口笛みたいな音を出す場面、あれ不思議だったなぁ。

それは“磯笛”って呼ばれる海女さん特有の呼吸法よ。潜水後に肺の中の二酸化炭素を一気に吐き出す時に出る音で、仲間への合図にもなっていたの。
映画『密輸 1970』配信・視聴方法
視聴手段 | 配信・販売状況 |
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Amazonプライム・ビデオ | ◎ 見放題配信中 |
Netflix | × 配信なし |
U-NEXT | ◎ レンタル配信中 |
Hulu | ◎ レンタル配信中 |
TSUTAYA DISCAS | ◎ DVDレンタル対応あり ※Blu-rayのレンタル対応は執筆時点で確認できず |
DVD(販売) | ◎ 新品・中古ともに取り扱いあり |
Blu-ray(販売) | ◎ 新品・中古ともに取り扱いあり |
上記の配信・販売状況は【2025年8月時点】の情報です。
🔍 配信状況を調べる際の目安としてご覧いただき、ご視聴・ご購入の際は各サービスの最新情報をご確認ください。
映画『密輸 1970』評価・口コミ
『密輸 1970』は、主演のキム・ヘスとヨム・ジョンアが織りなす圧倒的な存在感と、海を舞台にした独自のクライムアクションで高い評価を得ています。
社会的背景を織り込みながらもエンターテインメント性をしっかり担保しており、「女性たちのたくましさを描いた新しいタイプの韓国ノワール」として多くの観客に支持されています。
一方で、テンポ感やバイオレンス描写などに関しては賛否が分かれる部分もあります。
ポジティブな意見
- 主演女優ふたりの存在感
キム・ヘスとヨム・ジョンアの共演は「圧巻」「この映画の最大の見どころ」との声多数。 - 水中アクションの臨場感
潜水シーンの緊張感や映像美は「思わず息を止めてしまった」という感想が多く寄せられています。 - 1970年代の再現度
当時の漁村や社会の空気感が丁寧に再現されており、時代劇的な魅力も評価ポイントに。

韓国ノワールの緊張感と、女性たちの生き様を描くドラマ性がいいバランスで融合してるんだよね。
ネガティブ/賛否が分かれた意見
- ストーリーのテンポ
「少し長く感じた」「もっとテンポよく進んでほしかった」との声が一部。 - バイオレンス描写
刃物や殴り合いなどの生々しい描写が「刺激が強すぎる」と感じる人も。 - キャラクターの多さ
登場人物が多いため、「関係性を把握するのに時間がかかる」との指摘もありました。

人間関係が複雑なのは事実。でも、それが逆に韓国映画らしいスリルを生んでるとも言えるわ。
映画『密輸 1970』まとめ
『密輸 1970』は、1970年代の韓国・港町を舞台に、生活のために密輸に手を染める海女たちの姿を描いた海洋クライムアクション。
キム・ヘスとヨム・ジョンアという韓国を代表する名女優ふたりが物語を牽引し、緊張感あふれる人間ドラマと水中アクションを見事に融合させています。
また、1970年代の情景やファッションが丁寧に再現されている点も見どころのひとつ。港町の活気や当時の暮らしぶりがリアルに描かれ、スクリーンを通してその時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。
作品は実際の歴史的背景から着想を得ながらもフィクションとして描かれており、社会性とエンタメ性を兼ね備えた娯楽映画として高く評価されています。
友情や裏切り、信頼と葛藤が交錯するなかで、登場人物たちがどのように自分の道を切り拓くのか――最後まで目が離せません。
まだ観ていない方はぜひチェックしてみてください。
海の底から始まる緊張感と、女性たちの力強い生き様、そして懐かしい70年代の空気感にきっと心を揺さぶられるはずです。

海の音と一緒に70年代の空気が胸に残ったよ…!🌊
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