涙レベル ★★★☆☆(3/5)
価値観の違う家族が同じ時間を過ごす中で、少しずつ距離がほどけていく様子が、静かに胸に沁みてきます。
観終わったあとに残るのは、「家族を思い出してしまう気持ち」。
その余韻が、そっと涙を連れてくる作品です。
『プロヴァンスの休日』は、世代も価値観も違う家族が、ひと夏をともに過ごす物語。
言葉にしなくても伝わる想い。
ぶつかりながら、すれ違いながら、それでも少しずつ近づいていく心の距離。
南フランスのやわらかな光の中で描かれるのは、「家族って、こういうものかもしれない」とそっと思わせてくれる、やさしい時間です。
作品情報
- タイトル:プロヴァンスの休日(原題:Avis de mistral)
- 公開年:2014年
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ローズ・ボッシュ
- 主演:ジャン・レノ
- 上映時間:105分
- 制作国:フランス
あらすじ(ネタバレなし)
都会で暮らす三人の孫たちは、ある夏、南フランス・プロヴァンスで祖父と一緒に過ごすことになります。
生活のリズムも価値観も噛み合わない環境に、最初は戸惑いと反発を覚える孫たち。
無口で頑固な祖父と、距離を感じながら始まった共同生活ですが、畑仕事や食卓を囲む時間を通して、少しずつ心の距離が変わっていきます。
静かに流れる時間の中で描かれるのは、「一緒に過ごす時間」が人の心に残すもの。
観終わったあと、ふと家族の顔を思い浮かべてしまうような、やさしい余韻を残す物語です。
感情スコア(まにまにシネマ)
★=弱め / ★★★=ほどよい / ★★★★★=強め
| 感情 | スコア |
|---|---|
| 涙レベル | ★★★☆☆(3/5) 登場人物たちの距離が少し縮まる瞬間や、何気ないやり取りの中で、ふと目頭が熱くなるような“静かな涙”が残ります。 |
| 感動レベル | ★★★★☆(4/5) 人と人が向き合い、時間を共有することで生まれる変化が、じんわりと心に響く感動があります。 |
| ほのぼのレベル | ★★★★☆(4/5) 南フランスの風景と、ゆっくり流れる日常。 不器用ながらも少しずつ歩み寄っていく家族の姿が、心地よさを与えてくれます。 |
| 余韻レベル | ★★★★☆(4/5) 物語が終わったあとも、言葉にしきれない感情や風景が、静かに心に残ります。しばらく何もせず、余韻に浸りたくなるタイプの作品です。 |
人と過ごす時間の温度や、家族という関係の不思議さを、静かに、そして確かに感じさせてくれる一本です。
こんな人におすすめ
家族の物語を、静かに味わいたい人
言葉よりも、時間や距離感で伝わってくる想い。
家族という関係のあたたかさと不器用さを、そっと見つめることができます。
派手な感動より、余韻を大切にしたい人
観終わった瞬間よりも、ふとしたときに思い出して胸があたたかくなるような感情を求めている人に。
忙しさから少し離れて、心を整えたい人
南フランスの風景と、ゆっくり流れる時間。
慌ただしい日常から一歩引いて、自分の呼吸を取り戻したい人に向いています。
泣けるポイント
言葉よりも、態度で伝わる祖父の愛
多くを語らない祖父のやさしさは、その場では気づかないほど控えめで、不器用です。
けれど、孫たちの行動を黙って見守り、必要なときだけそっと手を差し伸べる姿に、「愛情は説明しなくても伝わるものなのかもしれない」と感じさせられます。
あとになって思い返したとき、胸の奥にじんわり残るのは、この祖父のまなざしです。
すれ違っていた家族が、同じ時間を共有すること
この映画が描くのは、分かり合うための言葉や、劇的な和解ではありません。
畑仕事をする時間、
同じ食卓を囲む時間、
何気ない一日を重ねる時間。
そうした「同じ時間を過ごすこと」そのものが、少しずつ心の距離を縮めていく様子が、とても丁寧に描かれています。
理解し合おうとしなくても、一緒にいる時間が、関係を変えていく。
その過程に、静かな感動があります。
南フランスの風景が、感情をやさしく包み込む
強い感情を押し出すのではなく、風景そのものが、登場人物たちの心情を受け止めてくれる。
南フランスの光、風、ゆっくり流れる時間が、この映画全体を包む“やさしい余白”になっています。
自然の中で過ごす時間が、人の心を少しずつほどいていくように、観る側の感情も、知らないうちに委ねてしまう。
その心地よさが、気づいたときの涙につながっていきます。
感想・レビュー
この映画を観て強く残ったのは、「何かが起きた」という出来事の記憶よりも、一緒に過ごした時間そのものの手触りでした。
物語は、電車の中の静かな場面から始まります。
サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」が流れる中、窓にもたれて眠る末っ子。
車窓の景色は、都会から少しずつ緑の多い田園地帯へと移り変わっていきます。
長い移動の時間とともに、これから始まる“夏の生活”を、言葉を使わずに伝える導入でした。
祖父は、不愛想で厳しく、感情を多く語る人ではありません。
祖母は、その祖父と孫たちのあいだを、さりげなく取り持つ存在です。
まだ明るいうちから始まる夕食に、孫たちが戸惑う場面も印象的でした。
生活のリズムひとつ取っても、祖父母と孫のあいだには確かな距離がある。
その小さなズレが、この夏の時間を、少しずつ動かしていくように感じられました。
最初から分かり合えている家族ではなく、距離も、言葉も、価値観も、どこか噛み合っていない。
それでも、同じ場所で、同じ時間を重ねていくうちに、少しずつ空気が変わっていきます。
その変化が、とても自然です。
印象的なのは、聴力に障害のある末っ子の存在でした。
祖父に最初になついていくのも彼で、言葉よりも表情やしぐさで関係が深まっていく様子が、とてもやさしく描かれています。
畑仕事や食卓、何気ない視線のやり取りの中に、「この人たちは、確かに家族なんだ」と感じる瞬間が、いくつもありました。
正直なところ、この映画は、強く泣かせにくる作品ではありません。
けれど、ふとした場面で、幼いころの夏休みや、祖父母と過ごした時間を思い出すような感覚が、静かに湧き上がってきます。
物語の終盤、夏が終わり、孫たちが再びパリへ戻っていく場面では、私自身が「また来たい」と自然に思わせる余韻が残りました。
そして、疎遠だった母親と祖父母をつなぐきっかけを作るのも、やはり末っ子です。
多くを語らず、不器用で、ときに頑固な祖父。
けれど、その態度の奥にある想いは、言葉以上に、確かに伝わってくるものがありました。
観終わったあとに残るのは、人と人が向き合うことの、静かな重み。
家族という関係の難しさと、同時にそのあたたかさを、そっと思い出させてくれる一本です。
『プロヴァンスの休日』はどこで見られる?【配信・DVD情報】
| 視聴手段 | 配信・販売状況 |
|---|---|
| Prime Video(Amazon) | 〇 見放題配信中 |
| Netflix | × 未配信 |
| U-NEXT | 〇 見放題配信中 |
| Hulu | × 未配信 |
| TSUTAYA DISCAS | 〇 DVDレンタル対応 |
| DVD(販売) | 〇 新品・中古ともに取り扱いあり |
| Blu-ray(販売) | 〇 新品・中古ともに取り扱いあり |
※ Prime Video は Amazon の動画配信サービスです(旧称:Amazonプライム・ビデオ/通称:アマプラ)
まとめ
『プロヴァンスの休日』は、家族と過ごす時間の中にひそむ感情の変化を、静かにすくい上げていく作品です。
同じ場所で、同じ時間を重ねること。
その積み重ねが、人と人の距離を少しずつ変えていく様子が、言葉に頼らず丁寧に描かれています。
南フランスの穏やかな空気とともに、家族という関係の難しさや、そこに残るあたたかさが、観る人の心にそっと触れてきます。
忙しい日常の中で、少し立ち止まりたいとき。
この映画は、心に無理をかけず、静かな余韻を残してくれる一本です。
本作は、
Amazonプライムビデオで観られる“泣ける洋画10選”の中でも、静かな余韻が心に残る一本として紹介しています。


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