映画『ワンダー 君は太陽』感想|やさしさが胸に残る、静かな感動作

夕暮れの湖を並んで見つめる少年たちの後ろ姿。映画『ワンダー 君は太陽』のイメージアイキャッチ

涙レベル ★★★★☆(4/5)
“やさしさが静かにしみるタイプ”の涙。
大きく泣かせに来る映画ではないのに、気づけば胸の奥がじんわり熱くなる。
とくに家族の絆・勇気を描く場面では、涙がそっとこぼれる温かい物語です。

見た目の違いを抱えたひとりの少年が、勇気を出して一歩踏み出すとき、
その一歩は、周りの人の心まで静かに変えていく。

映画『ワンダー 君は太陽』は、少年オギーの成長だけでなく、家族、友だち、先生……
彼を囲む人々の“変わっていく姿”まで丁寧に描いた物語です。

観終わったあとの温かさがずっと残り、
「ああ、この映画を観てよかった」
と自然に思わせてくれる一本。

誰かを思いやる気持ちが、そっと自分の中で目覚めていく。
そんな感動を味わえる作品です。

目次

作品情報

  • タイトル:ワンダー 君は太陽(原題:Wonder
  • 公開年:2017年
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:スティーブン・チョボウスキー
  • 主演:ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン
  • 上映時間:113分
  • 制作国:アメリカ
  • 原作:R.J. パラシオ『Wonder』

あらすじ(ネタバレなし)

オギーは先天性疾患によって顔に特徴があり、幼い頃から複数の手術を受けてきた10歳の男の子。
これまで母親と在宅学習をしてきたが、小学5年生になり初めて学校へ通うことに。

しかし、周囲の視線・好奇の目・無理解…。
教室は想像以上に“戦場”のような場所だった。

そんな中、彼は少しずつ仲間や家族に支えられながら、自分のペースで前へ進みはじめる。
「見た目で人を判断しないこと」
「本当の強さとは何か」
オギーの小さな一歩が、まわりの人々の人生まで変えていく。

原作情報(映画との違い/実話なの?)

原作は世界的ベストセラー『Wonder』

R.J. パラシオが、実際に“顔に特徴のある少女と出会った体験”をもとに着想したフィクション作品。
完全な実話ではないものの、作者の実体験から“人が他者をどう見るか”というテーマが誕生しました。

映画との違い

  • 原作のほうが複数の視点で語られ、姉ヴィアや友だちジャックの内面描写がより深い
  • 映画はオギー中心で、家族愛と友情をより明るく描く
  • 原作は“痛み”“孤独”“葛藤”の描写がやや重く、読後の余韻が深い

映画はより希望寄りのトーンに調整されており、誰にでも届く“優しい作品”になっています。

感情スコア(まにまにシネマ)

★=弱め / ★★★=ほどよい / ★★★★★=強め

感情スコア
涙レベル★★★★☆(4/5)
優しさにじんわり泣く“静かな涙”
家族愛レベル★★★★★(5/5)
家族の絆と成長が胸に迫る
ユーモアレベル★★☆☆☆(2/5)
父のユーモアや友人との会話が程よい軽さを添える
余韻レベル★★★★☆(4/5)
観終わったあとも温かさが長く続く

家族の絆や人とのつながりが静かに胸に残る、感情のバランスがとても美しい作品です。

テーマ解説(いじめ・家族愛・自己受容)

“いじめ”を正面から描く勇気

この映画は“子どもの残酷さ”を正面から描いています。
悪意ではなく、無知や恐れから生まれる偏見。それを丁寧に描くことで、観る者に気づきを与えます。

家族の愛がオギーの土台となる

母の強さ、父のユーモア、姉の葛藤。
家族全員がそれぞれの悩みを抱えながらも、互いに支え合う姿に胸が熱くなります。

自己受容というテーマ

“自分を好きになるのは難しい。だけど誰かの愛が、その最初の一歩をくれる。”
この映画は、その一歩がどれほど尊いものかを、静かに教えてくれます。

こんな人におすすめ

静かに泣けるタイプの映画が好きな人
大きな出来事で涙を誘うのではなく、人の気持ちの揺れや小さな優しさに、じんわり胸が熱くなる作品です。
感情がゆっくりと染み込んでくる映画を求めている人に向いています。

家族の物語や、子どもの成長を描いた作品に弱い人
オギー本人だけでなく、母、父、姉、それぞれの想いが丁寧に描かれます。
家族が支え合いながら前に進む姿に、自然と胸を打たれるはずです。

見た目やコンプレックスに悩んだ経験がある人
他人の視線や無理解に傷ついたことがある人ほど、オギーの気持ちに寄り添いながら物語を受け取れるはず。
「自分を受け入れる」というテーマが、静かに心に響きます。

実話風の、温かいヒューマンドラマを探している人
完全な実話ではないものの、現実に根ざした感情が丁寧に描かれています。
誇張のない物語だからこそ、登場人物の気持ちがまっすぐ伝わってきます。

子育て中の親や、教育・学校に関わる人
子ども同士の関係性、大人の関わり方、そのひとつひとつが考えさせられる内容です。
「どう寄り添うべきか」を静かに問いかけてくれる一本です。

泣けるポイント

家族それぞれの胸の内が明かされる場面が、静かに胸を締めつける。
母の強さと優しさが重なる瞬間、思わず胸がじんと熱くなる。
姉ヴィアの孤独と成長が描かれ、これは“家族全員が誰かを想う物語”なのだと気づかされる。

友情が本物へと変わる瞬間が、想像以上に胸に迫る。
ジャックの後悔と勇気、オギーの小さな一歩がやさしく心に残る。
夏のキャンプでの出来事は、この映画の中でも特に印象的な場面のひとつ。

ラストのスピーチが、静かな余韻を残す。
校長の言葉を通して、オギーがどれだけ周囲を照らしてきたか、その答えが静かに届けられる。
観終わったあともしばらく涙が引かない、穏やかで深い感動がある。

名言・心に残るセリフ

※本パートでは、
【映画のセリフ】/【教訓(Precept)】/【原作の一節(映画のテーマを補足する言葉)】/【引用(映画)】
と出典を明確に分けて紹介します。


教訓(Precept)として語られる言葉

【教訓(Precept)/映画・原作】

“When given the choice between being right or being kind, choose kind.”

訳:
「正しさと優しさで迷ったなら、優しさを選びなさい。」

Mr. Browne の授業で紹介される「今月の教訓(Precept)」。
映画の中では生徒によって読み上げられ、物語全体を貫く価値観として機能します。
誰かを論破するよりも、誰かを思いやることを選ぶ。
この映画の姿勢を端的に示す言葉です。

家族の愛を象徴するセリフ

【映画のセリフ】

“You are not ugly, Auggie.”

訳:
「オギー、あなたは醜くなんてない。」

自分の外見に傷ついたオギーに、母がまっすぐに伝える一言。
慰めでも同情でもなく、存在そのものを肯定する言葉であり、家族の無条件の愛を象徴する、非常に重要なセリフです。

原作から補足すると、オギーの内面はこう語られている

【原作の一節(映画のテーマを補足する言葉)】

“The only reason I’m not ordinary is that no one else sees me that way.”

訳:
「ぼくが普通じゃないのは、周りの人がそう見ているだけなんだ。」

原作小説『Wonder』に登場する一節。
映画の中でそのまま語られる場面はありませんが、オギーが感じている“普通でいられない苦しさ”を、最も端的に表しています。
映画で描かれる感情を理解するうえで、重要な補助線となる言葉です。

物語のラストで引用される言葉

【引用/映画】

“Greatness lies not in being strong, but in the right use of strength.”

訳:
「偉大さとは、強いことではなく、その強さをどう使うかにある。」

物語の終盤、校長先生(Mr. Tushman)のスピーチの中で紹介される言葉。
オギーがこの一年で示してきた“在り方”を、大人の言葉で言語化した場面です。
静かで、深い余韻を残す締めくくりとなっています。

感想・レビュー

『ワンダー 君は太陽』は、“やさしさとは何か”を静かに問いかける作品です。

オギーの勇気はもちろんですが、姉ヴィア、友人のジャック、先生、そして家族。
それぞれが抱えていた思いが重なっていく構成が見事で、誰の心の中にも“見えない痛み”があることを優しく示してくれる。

この映画は、誰かを変える物語ではなく、“互いが影響し合っていく物語”。
優しさの連鎖がこんなにも温かいものだと、観終わったあとにそっと気づかされる。

静かで、穏やかで、それでいて忘れられない。
観終わったあと、自分が誰かにどう接しているかを、そっと振り返りたくなる一本でした。

『ワンダー 君は太陽』はどこで見られる?【配信・DVD情報】

視聴手段配信・販売状況
Prime Video(Amazon)〇 見放題配信中
Netflix〇 見放題配信中
U-NEXT〇 見放題配信中
Hulu〇 見放題配信中
TSUTAYA DISCAS〇 DVD/Blu-rayレンタル対応
DVD(販売)〇 新品・中古ともに取り扱いあり
Blu-ray(販売)〇 新品・中古ともに取り扱いあり

※ Prime Video は Amazon の動画配信サービスです(旧称:Amazonプライム・ビデオ/通称:アマプラ)

上記の配信・販売状況は【2025年12月時点】の情報です。
配信状況を調べる際の目安としてご覧いただき、ご視聴・ご購入の際は各サービスの最新情報をご確認ください。

まとめ

「ワンダー 君は太陽」は、誰かの一歩が周囲の世界を静かに変えていく温かい物語です。
涙は優しく、余韻は深く、胸の奥に“柔らかい光”が灯るような作品。

人の見た目、コンプレックス、いじめ、家族愛。
一見重いテーマを扱いながら、観る人の心をそっと包み込んでくれる。

「やさしさって、こんなにも強い」
そのことを静かに教えてくれる名作です。

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