一見、優しさや安心を象徴する“笑顔”。しかし本作『SMILE』では、その笑顔がじわじわと人の心を追い詰め、恐怖の象徴へと変貌します。予告編や広告でも話題を集めた本作は、単なるスプラッターではなく、観る者の心理を深くえぐる“トラウマ級ホラー”。
この記事では、ネタバレなしであらすじを紹介しつつ、映画の見どころや考察、実際に観て感じた評価や感想をまとめました。

笑顔がテーマのホラーってだけで、ちょっとゾクゾクしてくるよね。

え…!笑顔って普通ほっとするのに、そんな怖いの?
作品情報
- 原題:SMILE
- 公開年:2022年
- 監督・脚本:パーカー・フィン
- 主演:ソシー・ベーコン
- 上映時間:115分
- ジャンル:ホラー/サイコロジカル・スリラー
- 制作国:アメリカ
『SMILE』は、短編『Laura Hasn’t Slept』で注目を集めた新鋭パーカー・フィン監督の長編デビュー作。低予算ながら、2022年のホラー映画の中でも異例の大ヒットを記録し、世界興行収入は2億ドルを超えるほどの成功を収めました。主演はソシー・ベーコン。彼女の父は俳優ケヴィン・ベーコンで、演技の血統を感じさせるリアルな恐怖の表現も話題になりました。

主演はソシー・ベーコン。
名前でピンと来る人もいるかな? ケヴィン・ベーコンの娘なんだよね。

監督のパーカー・フィンは短編から注目された新鋭。低予算ながら心理的恐怖の演出は高評価なの。

へぇ〜新人監督なのに、こんな話題になるってすごいね!
あらすじ(ネタバレなし)
精神科医のローズ(ソシー・ベーコン)は、日々患者の心と向き合う立場にある女性。ある日、彼女の前に現れたのは「笑顔を浮かべながら不可解なことを口走る」患者でした。その直後、患者は衝撃的な最期を迎え、ローズは深刻なトラウマを抱えることになります。
やがて彼女自身の周囲にも、不気味な笑顔を浮かべる人々が現れ始めます。これはただの幻覚なのか、それとも“何か”が取り憑いているのか…。不可解な現象の連鎖に翻弄されながら、ローズは自分の過去とも向き合わざるを得なくなっていきます。
本作は「呪いが人から人へ連鎖していく」というホラー映画の王道的な枠組みを持ちつつ、笑顔という普遍的なモチーフを恐怖に転換したユニークな作品です。

連鎖する“呪い”の仕組みがポイントだね。シンプルだけど一気に引き込まれる。

『イット・フォローズ』を思わせる構造よ。見えない恐怖がじわじわ迫ってくる。
見どころ・怖さの特徴
『SMILE』が強烈に記憶に残る理由は、「恐怖の仕掛け」の多層性にあります。
まずはホラー映画おなじみの ジャンプスケア。唐突に現れる不気味な存在や大音量の効果音で観客を驚かせます。ただし、本作のジャンプスケアは“数撃ちゃ当たる”方式ではなく、心理的緊張を極限まで高めた上で炸裂させるため、効果が抜群です。
次に挙げられるのが、 グロテスク描写。血や肉体的な恐怖表現はありますが、むしろ心理的にじわじわと追い詰められる恐怖のほうが印象的です。安心できるはずの笑顔が、なぜか心をざわつかせる。この「感情の逆転」が観客を混乱させ、スクリーンに釘付けにします。
さらに忘れてはならないのが 宣伝戦略。公開時にはメジャーリーグのスタジアムに「笑顔を浮かべた人間」が突然現れるというゲリラ的な宣伝が行われ、SNSを通じて一気に拡散。「予告の時点でトラウマ級」と評されるほど、作品世界と宣伝を一体化させた巧妙さも際立っています。

急にドーン!って出てくるのは心臓に悪いよ…。夜トイレ行けなくなりそう。

グロ描写はあるけど、むしろ怖さは心理的な部分が大きいと思う。
考察・評価ポイント
『SMILE』は単なるホラー映画に留まらず、“トラウマの連鎖” を描いた作品でもあります。
物語の中で繰り返し描かれるのは、主人公ローズが過去に抱えた心の傷。彼女が患者の異様な笑顔を見て感じる恐怖は、単なる“呪い”ではなく、抑圧してきた痛みの記憶を呼び起こす引き金のようにも見えます。
つまりこの映画は「笑顔」という日常的な表情をホラーの象徴にすることで、人が隠そうとする心の闇や精神的な負担を観客に突きつけているのです。
さらに、恐怖の“連鎖”が止められない構造は、まるで 世代間で受け継がれるトラウマ を暗示しているようにも解釈できます。
ホラー映画でありがちな「怪物VS人間」の図式ではなく、「人間が人間自身の恐怖を増幅させる」という仕組みが、本作を他のジャンルから一歩抜きんでた存在にしていると言えるでしょう。
また、評価面では「ジャンプスケアが多い」と批判する声もある一方で、海外批評サイトでは「心理的恐怖の表現が秀逸」「低予算ながら工夫が光る」と肯定的な評価が多数。興行的成功も納得のクオリティです。

この映画って“恐怖の連鎖”を通して、心の病やトラウマを描いてる気がする。

そうね。単なるホラーじゃなく、メタファーとしての深みがあるから批評家も注目してるのよ。

へぇ〜ただ怖がらせるだけじゃないんだ。そう聞くとちょっと観たくなる。
感想・おすすめポイント
実際に観終えたあと、一番強く残るのは 「日常の中に潜む違和感」 でした。
誰かが笑いかけてくるだけで、なぜか心臓がざわつく。安心と恐怖の境界線を壊すアイデアは見事で、しばらく“人の笑顔”を素直に受け止められなくなります。
ホラーとしての出来栄えは十分で、ジャンプスケアに慣れた観客でも心理的な緊張感にやられるはず。特に、音響設計や間の使い方は秀逸で、映画館での鑑賞は体験そのものが恐怖でした。
ただし、全員に勧められるかというと微妙です。トラウマや精神的なテーマを扱っているため、気分が落ち込んでいる時にはあまりおすすめできません。逆に、ホラー好きや心理スリラーを好む人には「観て損なし!」と胸を張って言える作品です。
また、同じように“目に見えない恐怖”をテーマにした映画『イット・フォローズ』や、心の闇をモンスター化した『ババドック』が好きな人には特に刺さるでしょう。

観終わったあともじわじわ怖さが残る。ホラー好きにはおすすめ。

僕は無理かも…。でもホラー強い人にはたまらなそう!
配信情報と視聴方法(配信・DVD情報)
視聴手段 | 配信・販売状況 |
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Amazonプライム・ビデオ | ○ レンタル/購入配信中 |
Netflix | ◎ 見放題配信中 |
U-NEXT | ○ レンタル配信中 |
Hulu | ○ レンタル配信中 |
TSUTAYA DISCAS | ◎ DVDレンタル対応 |
DVD(販売) | ◎ 新品・中古ともに取り扱いあり |
Blu-ray(販売) | ◎ 新品・中古ともに取り扱いあり |
上記の配信・販売状況は【2025年8月時点】の情報です。
🔍 配信状況を調べる際の目安としてご覧いただき、ご視聴・ご購入の際は各サービスの最新情報をご確認ください。
続編『Smile 2』について
本作『SMILE』の大ヒットを受けて、続編 『SMILE 2』 が制作され、2024年10月に全米公開されました。監督・脚本は引き続きパーカー・フィンが担当。主演は映画『アラジン』実写版でジャスミン役を演じた ナオミ・スコット が務めています。
物語はポップスターの スカイ・ライリー を中心に展開。ツアー準備中に奇妙な出来事に巻き込まれ、やがて“笑顔の呪い”に取り憑かれていく姿が描かれます。前作から刑事ジョエル(カイル・ガルナー)が続投しており、世界観のつながりを保ちながら、新しい視点を加えています。
海外レビューでは「前作を上回る稀有な続編」と評され、演技・メイク・音響の完成度が高いと好意的な評価を獲得。シリーズとしての評価をさらに高めています。
まとめ
『SMILE』は、安心の象徴であるはずの笑顔を恐怖の象徴に変えた斬新なホラー映画です。
単なる驚かしや流血描写に頼らず、観客の心に潜む不安やトラウマをえぐり出すことで、強烈な余韻を残す作品となっています。
- ジャンプスケアの切れ味と心理的恐怖のバランスが絶妙
- 笑顔という日常的モチーフを逆転させたアイデアが秀逸
- 心理スリラーとしての深みも評価できる一方、観る人を選ぶ作品
ホラー映画ファンはもちろん、心理的な恐怖や考察要素を楽しみたい人にもおすすめです。ただし、心が弱っている時には避けたほうが無難。観終わったあと、人の笑顔がいつもと違って見えてしまう――そんな後味を残す、まさにトラウマ級ホラーです。
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